書評+:食える学歴(扶桑社新書 中野雅至著)

親、元官僚、大学教授という3つの側面を持つ筆者から見た、学歴に対する経済的損得を論じる本です。
私なりに本書の要約を簡単にすると、

日本の学歴社会は東大を頂点とするピラミッド型学歴社会から上中下の3グループ型学歴社会へと変貌するであろう。その中での上位グループ(旧帝大+早慶等)に含まれていることが大前提で、その上で厳しい社内競争、国際競走を勝ち抜けるサバイバル能力が求められる。また、個々の適正に応じ、医師などの独占業務を持つ専門分野への進学や海外への留学なども視野にいれるべきだろう

といったところです。
本書に記載のあるピラミッド型学歴社会からグループ型学歴社会への転換は00年台後半に就職活動をした私にとって非常に納得感のある考えです。(また私は慶応文系が一番努力対効果の高い大学だと思いますが、その点でも同じです)

東大と早慶上智の比較

冷静に考えると、東大は無理に目指す価値があるか疑問です。
1流の大企業への就職を目標とするのであれば、東大生が早慶上智といったトップ私立大生に対し大きなアドバンテージを感じることは少ないと思います。一部の金融、コンサルティングファームなど日本の大企業じゃ有り得ないような高給を得られる職に関しては、東大卒という点が若干有利になる側面も感じましたが、それ以上に属人的な能力・経験・パフォーマンスが採用の是非に大きく関わるため、いずれにせよ東大生が有利とまでは言えないと思います。
理系で研究をする場合やキャリア官僚を志向する場合はまだまだ東大に軍配は上がりますが、スポーツや遊びと勉強を両立出来ない子に、中高の多感な時期を全て勉強に充ててまで東大を目指させる指導は行き過ぎだと感じます。